『私が殺した…』 雅臣の声が聞こえた そう…雅臣が、私が…凛を殺した 凛の後ろ姿が見える ゆっくりと凛の身体が湖に消えてゆく 祝詞を上げる声だけは平静を装った 逝かないでくれ… 逝かないで…くれ… しかし、凛の姿が消えた瞬間 雅臣の瞳から涙が溢れていた 誰にも見られずに悟られないように 静かに泣いた 溢れる涙をこれ以上零さない様、天を見上げると 蒼い 真っ蒼な 満月がこちらを静かに照らしていた