帰ろう。そう思った。 その瞬間、顔に影が落ちる。 もう一度顔を上げた。 「ハルさんですか?」 待ち合わせの男だった。 アタシはもう泣きそうで、小さい声で「はい」って、 そう言うだけでもう精一杯だったんだ。 背の高いトコ、 鷲鼻のトコ、 すこし色黒なことも、 あなたに似てるんだもん。