来た。



遠くからでも、目が悪くても分かる。
アイツの姿。


ピョコピョコなんか歩いて。
その歩き方、おかしいだろ?

横見ながら歩くなよ。
フラフラすんな。


ほらみろ、ぶつかったじゃねーか。
つーか、知らない男にぶつかってんなよ!


なにペコペコ頭下げて、おまけに笑顔なんか見せてんだよ!





そんなアイツが、ようやく俺を見つけたらしい。



「心くーん!!」


大きな声で俺の名前を呼んで、おっきく右手を振っている。

やっぱりバカだ。
お前、周りの視線に気づいてないだろ。
『恥ずかしい』って言葉、お前ん中にはないのか?


真っ直ぐに、俺だけを見ている瞳。

そんな姿が、眩しすぎる。