[極短]限りなく5に近い4


1人の女子が、太郎の双子の兄、次郎に問いかける。

次郎は視線をどこかへ投げたまま、誰の目を見ることもなく、

罰が悪そうに、まるで言い訳をするように言葉を濁す。


「あー…なんか、あいつイラついてたみたい。
しばらくは帰ってこないんじゃないかな」


次郎の一言に、クラス中がざわめきだす。

わずかな時間の中で、クラスメートたちは有りもしない噂を次々と作っていった。

やがて昼休みを終える頃には、隣のクラスにまで、

“太郎は告白した女の子にふられた”という噂が出回ってしまった。

一方太郎は、いろんな噂が飛び交う教室の状況など知る由もなく、

立ち入り禁止のはずの屋上で、ひとり寂しく涙を流していた。


「なんで…なんでなんだよ…」