1人の女子が、太郎の双子の兄、次郎に問いかける。
次郎は視線をどこかへ投げたまま、誰の目を見ることもなく、
罰が悪そうに、まるで言い訳をするように言葉を濁す。
「あー…なんか、あいつイラついてたみたい。
しばらくは帰ってこないんじゃないかな」
次郎の一言に、クラス中がざわめきだす。
わずかな時間の中で、クラスメートたちは有りもしない噂を次々と作っていった。
やがて昼休みを終える頃には、隣のクラスにまで、
“太郎は告白した女の子にふられた”という噂が出回ってしまった。
一方太郎は、いろんな噂が飛び交う教室の状況など知る由もなく、
立ち入り禁止のはずの屋上で、ひとり寂しく涙を流していた。
「なんで…なんでなんだよ…」

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