理由をいろいろ考えたものの、結局結論にたどり着くことはできなかった。
「まあ~!すごいじゃない!
自慢の息子だわ~」
家に帰り太郎と次郎が成績表を渡すと、
太郎の成績表を見た瞬間に、母親はあからさまに声を輝かせた。
ありがとう、と言いながらも、太郎はショックから立ち直れていない。
夕飯を断り、自室に立てこもってしまった。
布団に丸まり寂しくも涙を流す太郎を、家族は心配しつつも、無理に部屋に入ろうなどとはしない。
母親も父親も兄の次郎も、わかっているのだ。
これまでに太郎が100になれた試しがない、ということを。
それから3日ほど、太郎は部屋から、そして布団の中から出ることはなかった。
限りなく5に近い4の中で生きてきた太郎は、
これからも限りなく5に近い4の中で生きていくことだろう。
【完】