『悪いねー。
さっきの話、聞いちゃったんだよねー。
今の魔神は外的影響を受けやすいんだってー?
それは好都合ってモンだ!』

俺の足元から、不自然に水が湧き出して来る。

それが噴水のように勢いよく上昇したかと思うと、空中で『水で作られた胸像』のようになった。


「まさか貴様……!
伍凶将か!?」

『その通りー。
オイラの名前は四の凶『静尽(しずく)』さ。
あまり力は無いけどねー。
何かに『憑く』のが得意なんだよねー』

羅扇との戦いの最中、降っていた雨に紛れていたのか。
こんな時に!!


『じゃ、そゆことでー』

静尽は天井から、俺に向けて勢い良く飛び掛かった!
掛けられた水は、俺の全身に染み渡ってゆく。


ピキ


卵の内側から雛が出ようと殻を突いた時のように、俺の像の顔の一部が割れて剥がれ落ちた。
割れた隙間の奥で、怪しげに光る目がギロっと動く。

いつもの魔神の目の色は、黒地に緑の瞳。
だが今動いた目は、赤地に黒の瞳だった…