「我々は凶、そして人間の動きを探ります」

『人間だァ?』


「俺達の存在が人間達に気付かれてしまった。
仕方の無かったこととは言え、俺が原因だ」

リ・シュウが静かに言う。

それをフォローするように、ディノウンが付け足した。

「この戦いが続けば、いずれこうなることは分かっていました。
問題は………
自分達より上位の者が現れたことで、人間社会が混乱するかも知れないということです。
あまり好印象では無いでしょうからね、恐らくは軍事力を導入してくるでしょう」


『そうか…
無駄と分かっていても抗うのが人間の性(さが)…
相変わらず進歩が無ェな。
まぁいい。
そっちは任せるぜ』

「はい、では行きます」

ディノウンがリ・シュウと自身を覆うようにマントを翻すと、マントは渦のようになり、2人を吸い込むように消えて行った。


洞窟内に静寂が戻る。


『さて………
またヒマになったな』

ルシヴァナが言うと、


『そうとも限らないんだよねー、これが』

透徹ではない誰かの声!

「何者だ!?」

背中の純幽晶の束に手を掛ける透徹。