「やる気になったようねぇ、子猫ちゃん?」

ドシャ降りの水煙の中に浮かぶ、羅扇の不敵な笑み…


相手は伍凶将の一人。
カマイタチの他にも、何か奥の手があるのかも知れない。

(何をしてくる気?)

ラシスは杖を両手でしっかり掴み直し、いかにも女の子らしい内股の格好で身構えた。


「ラシス!
先手必勝よ!!」

言うが早いか、蜂姫は両手の針を逆手に持ち、顔の前で手首をクロスさせて羅扇に躍りかかる!

「あ!
ファルキュリア!
待って!!」


ヒュウウ…


風が羅扇の周りで渦を巻き始める。
それは段々と目に見える程までに収縮され、やがて新体操のリボンのようにクルクルと羅扇の周りを回転し始めた。

「風の縛索(ばくさく)よン。
避けられるかしら?」


ヒュヲオォゥウン!


風のロープが生きているかのようにうねりながら蜂姫に襲い掛かる!

「こんなモノ!」

蜂姫は針でロープを切り払ってゆくが……


スパッ


(あれ?
以外とあっけ無く切れる…)

ロープを切断しながら斬りかって来る蜂姫を見て、再び羅扇がニヤリと笑う。

「あ〜あ。
そんなに切っちゃった。
どうなるかしらねぇ?」