………俺が岩砕を倒した後、今まで以上に身体のダルさが強くなった気がする。
人間の姿の時でさえも、だ。

通学途中の坂道でも息切れがする始末。
行きは良いが、帰りは上り坂だからキツイ。


「よォ、狼牙!」

俺の帰り道で待っていたのは、俺と同い年ぐらいの青年に姿を変えた、鬼神ルシヴァナ…


彼も俺や蜂姫のように、人間としての生活を始めた。

ルシヴァナの、人間としての名は『ドウジ』。

日本の鬼伝説からのイメージで俺が命名した。


「面倒臭ェから行かねェ」

そういう理由で、彼は学校には通っていない。


「ドウジ。
お前は身体、何とも無いか?
俺は…どうも調子が悪い」

「人間の姿の状態でか?
俺は解放界に来てから間もないから、よく分からんなァ。
あんま気にして無ェぜ?」

こいつ、体力有り余ってるな…


蜂姫はどうだろう?
彼女も人間では無いから、何らかの不調が出始めているのでは…


「ごっ機嫌いっかがっかなっ?
おっふたっりさんっ!」

「待ってよっ、蜂姫ちゃん!」


…心配して損した。

さゆりと蜂姫が元気に走りながら、俺達を追い掛けて来た。

「危ないから坂道を走…」

「きゃあああああ!!」


スッテエェン!!


…この娘、本当に妖精か?