………俺とディノウンの出会いから、早いもので2ヶ月が経った。


突然『神の力』を取り戻して戸惑う俺に対し、まずディノウンは世界の二面性のことを教えてくれた。


解放界と封印界。


元々、解放界というのは特に名前が無い世界だった。

封印界という、世界で生きる者に害を与える者達を閉じ込める世界があり、その対称となる世界だから解放界という名が付いたそうだ。

封印界に閉じ込められた者は肉体を剥奪され、魂だけで永久的に生き続ける。


牢獄のような場所だが、『地獄』とも違う世界らしい。


そして封印界の住人で、肉体を手に入れる手段を知った者が一族を立ち上げた。


その一族の名が『凶』。

『凶』の動きを監視するのは、『神』の役目だ。


凶の出現が頻発化し…
この2ヶ月は、凶との戦いの日々だったと言っても過言ではない。

しかし俺が人間として生活していた事実は消せないから、そちらの生活も平静を装って送る必要がある。


変な話だが、神は凶のように『存在』を操ることができない。

そんな能力は、神には必要無いからだ。


神は他のモノの『存在』を奪うことなく実体化できるし、変身能力を駆使して人間の生活に溶け込むことができる。


俺が今まで人間として生活して来られたのも、それらの能力のおかげだ。