「解放界と封印界の境界をブチ破るぞ!」


俺達が乗る船の目前まで迫った「世界の壁」…

ヴィマナディアは衝角にエネルギーを溜め、それを前方に収束、放射した!


ズブウオォォオッ!


ヴィマナディア本体よりもデカい、巨大な衝角が形成された!

「行けぇぇえっ!!」


バリバリバリバリッ!!


空が、割れる!!

それと同時にドス黒い湿った風が、割れた壁の先から吹き出して来た。

これが、封印界の風…

それはファビスの黒い息吹!


「ウノサス…」

ヴィマナディアの最先端で突撃を見守る俺の側にラシスが来て、寄り添って来た。

ふわりと風になびく髪から、さゆりと同じ香りを感じた。

「死なないで」

ラシスの言葉が引き金となって、俺の中で何かが弾けた。

次の瞬間、俺は無意識にラシスを強く抱きしめていた。

「俺は死にはしない。
必ず戻る!
だから…」

待っていてくれ。


最後の言葉は、言わなくとも目で伝わったと思う。

「行ってくる」


バサァ


俺は翼を広げた。