「そうだ!
さゆりは!?
シントは倒した。
さゆりを凶から解放するのは今しか無い!」
「さゆり?
ファビスの心臓のことか…
ラシス!
そっちの様子は?」
『………』
神帝の呼び掛けにラシスは応えない。
だが僅かだがラシスの気配は察知できることから、ラシス自身に何かがあったワケでは無い、とは思うが…
「ウノサス、見に行って来い」
神帝は、拳から立てた親指で向かうべき方向を差す。
「あ、あぁ…」
急かされている気がして、俺は翼を広げてラシスの気配を辿りながら飛んだ。
飛び去る俺の後ろ姿を見送りながら、
「ウノサス…
お前は今から、残酷な選択を強いられることとなるだろう。
これから自分のすべきことを見失うなよ。
解放界を生かすか、それとも殺すか…
全てはお前次第だ。
頼んだぜ。
我が弟、ウノサスよ…」
神帝の精神体は、そう言い残すと光の粒子となって天へ帰って行った…



