「………狼牙。
その話から導き出される結論は、一つしかありません。
信じたくはありませんが…」

ディノウンの人間としての姿であるアーサーが、言いにくそうに話し出した。


…アーサーが何を言おうとしているのか分かる。

ファビスの出現と時を同じくしてさゆりが姿を消した話を聞いて、俺は薄々感づいていた。

真実に………


他の連中も同じコトを考えているのだろう。

皆、黙って俯いていた。

やがてアーサーは、ゆっくりと口を開いた。

「確実とは言えませんが…
さゆりさんがファビスの心臓だったと考えて間違いは無いと思います。

そして我々が伍凶将を倒したことでファビスの封印が解かれ、その心臓たるさゆりさんはファビスの復活に反応してしまい、行動を起こした…

さゆりさんがファビスの元に行こうとしているのかは分かりません。
が、とにかく彼女を追わなければ」

「待て。
追うのは良いが、近寄れば妖精騎士や時の女神と同じように身体の自由を奪われてしまうのではないか?」

そう言ったのは透徹。

確かにそれも考慮する必要がある。


「どうすれば良いんだ…」