「フ…」
凶の鼻息混じりの威勢を聞き、ディノウンは失笑した。
「それは無理ですよ。
俺が何故、わざわざ貴方のような末端者の前に姿を現したと思っていると
思っているのです?」
「あン?
どういう意味だ、そりゃ?
俺様の力を認めたから、妖神が自ら出向いて来たんじゃねぇのか?」
「残念ながら不正解です。
俺の目的は一つ。
彼に…」
妖神ディノウンは俺を見た。
「この白銀狼牙に会いに来たのですよ」
俺に用だって!?
俺に騎士の知り合いは居ない。
しかし何故だろう。
彼の声には懐かしさを感じる…
「天下の妖神ディノウン様が、こんな人間の小僧に用だと!?
ふぇゃひゃひゃふぁははは!!」
何だ、その難しい笑い方は?
しかしこの凶とかいう奴の言うことにも一理ある。
俺の思惑をよそに、妖神ディノウンは信じられないことを言った。
「帰って主に伝えなさい。
妖神ディノウンが現れ、白銀狼牙と名を変えて解放界に潜伏していた神…
貴方達が最も恐れる
『魔神ウノサス』
に接触した、とね!」