「……そ、う…?」
―――なんでいるの?
「……え、爽さん?」
ハエバルが後ろをむく。
そこには、私たちを見つめる爽。
離れるため、ハエバルの肩を思いきり押す。
「あぁ、すいません」
そう笑って、意外にもすんなり離してくれた。
「…………なにしてんの」
爽の抑揚のない声が響く。
………怒ってる。
だけどハエバルは臆することなく爽に笑いかけた。
「爽さんどうしたんです?あ、心配になって来ちゃったとか」
「だったら何。今は俺が聞いてんだよ」
「キス、してました。………これでいいですか?」
爽がイラついたように目を細めて、私を見た。
びくりと肩が震える。
外でだけつけるメガネ越しのせいか、いつもより冷たい目に見えた。
「…………愛、来い」
私を呼ぶ。


