さっきまで歩いてきた道を、今度は走っている。
私のペースにあわせるコトなんてなく、ハエバルはどんどん進んでいった。
当然すぐに息があがる。
「ハッ、ハエバル…はやいっ」
すると、ハエバルの足がとまった。
そして、ゆっくりと、歩きだす。
―――――――
「………好きだったんです」
突然ぽつり、とハエバルが言った。
下を向いて歩いていた私は顔をあげる。
「中3のとき、ナンパされて。顔がすごい好みだったんですよ。そしたらバカみたいに本気になっちゃって」
「………うん」
「告白したらOKって言われて、舞い上がって、たくさん貢ぎました」
「………そっか」
私の手をにぎるハエバルの手に汗がにじむ。
ベタベタしたけど気にしなかった。


