「櫂?どうしたの?」
ぼーっとしながら帰ってきたら、皐月に聞かれた。
答えはかえさずに、代わりに肩に顔をうずめる。
「え……ちょ、なに」
「……んー……皐月すきやー」
「っはいッ!!?」
『すき』
そんなひとことだけで、あわてる皐月を可愛いと思った。
フッ、と微笑む。
「……なぁ」
肩から顔をあげれば愛しい彼女。
そのきれいな唇に、キスをひとつ。
「俺ら、結婚すんのいつにしよか」
唇を離し、顔の赤い皐月に聞けば、
「なっ……なんでいきなりそんなに話とぶの」
返ってきたのは冷静な返事。
当たり前か、と笑いながら耳元で囁く。
「……だって約束してもーたんやもん」
『絶対、幸せになる』
皐月とだったら、そんな口約束も守れるような気がしたから。
「皐月、好きやで」
この感情を、一生大切にしたいと思った。
―――


