櫂は次の言葉を発そうとしたけど、私の顔をみて口を閉じた。 いつもみたいに笑う。 「……ま、こんなん愛ちゃんにする話やないわな」 そして立ち上がり、私に手を差し出した。 その手を掴んで私も立つ。 あの言葉の意味が気になったけど、なにも聞かなかった。 聞いちゃいけない気がしたから。 そのかわりに、 「櫂、ありがとう」 ずっと私が伝えたかったことを言うよ。