続きの俺様!何様?執事サマ!?





「賞とったからって調子づくなや、阿呆。この世界は厳しいねん。精進しぃ」



そして優しい瞳を細めて、

自分を見上げる櫂に笑いかけた。



厳しいことを言いながらも、それは確かな『母親』の顔だった。



私は考える。



櫂のお父さんがいなくなって、悲しかったのは蔦さんもおなじ。

だけど、仕事をがんばらなきゃいけない。

でもそれだから、小さいころの櫂の元気をなくしたのは自分だと思っていたはずだ。



だから。



だから、櫂が自分と同じ世界に来てくれたことが嬉しいのかな。



たぶんきっと、そう。





蔦さんが私のほうをむいた。

ふわっと笑う。



「……おおきに」



ひとことだけ告げて、背をむけて去っていく。

何に対しての『ありがとう』かはわからないけど、嬉しかった。



(……私もあんな女のひとになりたいな)



蔦さんの背筋の伸びた後ろ姿を見て、そう思った。