爽は、怒ってても怒鳴ったりそれを表情に出したりすることはあまりない。 それがまた、怖さを倍増させていたり。 「……好きだから、です」 絞り出すような声でハエバルが言った。 爽は依然として無表情のままだ。 「嘘は禁止」 ただそれだけ告げて、また指を髪へくい込ませる。 ちょと、抜けちゃうんじゃないのアレ。 そんな心配をしたが、今の爽の言葉にひっかかりを覚えた。 (…………嘘?)