頭をつかまれてもハエバルは動揺も抵抗もしない。
ただ、否定するように首を振った。
それを爽は冷たい目で見つめる。
「昨日のアレは何なわけ」
折り曲げられたままのハエバルに質問をする。
だけど答えない。
爽がしびれを切らしたようにハエバルの髪をつかんで顔をあげさせた。
口角をあげて、造り笑いを見せる。
「どうして愛にあんなコトしたんですか?」
爽の右手に力がはいるのがわかった。
ハエバルが顔を少し歪める。
それを見て、爽は笑顔を消した。
「理由によっては……覚悟していただけなければいけませんけど、ね」
丁寧な言葉の裏、静かな怒りが感じられる。
自分がやられてるわけじゃないのに、怖かった。


