櫂は皐月に連れられて部屋を出ていった。 3人だけの空間。 ゆっくりとハエバルが近づいてくる。 別に怖くはなかったけど、爽が私の手を握ってくれて。 少し、安心した。 「……愛さん」 床に落ちたネクタイを拾う。 きちんとたたんで、私のほうに差し出してきた。 「とりあえず、これ。返します」 そう言って、私の空いたほうの手に無理やりそれを握らせた。