加納欄の催眠術 シリーズ8

「適当にベンチに座るから、茂みに隠れててね」

「はい」

「確実に、催眠術にかけたところと、その後の様子を確認してから行動おこしてね」

「はい」

「何か、質問は?」

「何時まで粘るつもりですか?」

「あたしが、飽きるまで」


そりゃ、長くなるわ(-.-;)


「わかりました……危なくなったら、犯人殺しに行きます」

「了~解、まかせたわよ」

そう言って、祥子先輩は、歩いて行った。


さぁてと。


下見しときますか。


あたしは、祥子先輩が、座ったのを確認すると、その周辺の下見を始めた。

緑ヶ丘公園は、まるでカップルに与えられたかのような公園で、間隔をあけて、ベンチが並んでいる。

夕暮れ時にでもなれば、辺りを気にせず、自分たちの世界に入り込んでいるカップルが、大勢いた。

ベンチに腰掛けるカップルだけじゃない。

茂みにいたり、芝生に座っていたり、まるでカップルじゃないと、入ってはいけない気にもなった。

「参ったなぁ、目のやり場に困るよ」

毎日こんなにカップルがいるのか、今日がたまたまなのか……とにかく、皆さんの過激さに、あたしは、祥子先輩に意識を集中させるしかなかった。

祥子先輩を見守り続けて3時間がたった。

腰は痛いし。

辺りは暗いし、街灯の灯りだけがたよりだ。

「祥子先輩も、動かずじゃ、辛いよね……」

あと、30分待って、何にもなかったら、祥子先輩に今日は、諦めるように言いに行こうと、思っていた矢先だった。

グレーの背広を着た男が、祥子先輩の前で立ち止まったのだ。

緊張が走った。

会話のやり取りをしているそぶりは見えない。

その男は、そのままいなくなった。

「なんだ……」

祥子先輩も、座ったままだし。

特に異常はなさそうだった。

あたしは、とりあえず警戒を解き、また祥子先輩を見守った。

10分過ぎた頃、先ほどの男が、戻ってきた。

片手に地図らしきものを持っている。

見ようによっては、地方から来た営業マンが、道に迷って訪ねようとしている感じだ。