Memories - 年の差恋愛 -

駐車場まで一緒に歩き、お手洗いへ行くからと事務所前で別れた私。

事務所の外にあるトイレの鍵を開けて、鏡の前で軽く化粧を直す。

飛田さんは本当にくるのだろうか?

お店を出るときは、他の若い人達に連れ回されていたようだったけど。

私のほかにも、上の方の人たちは帰る人が多かったようで、車も数台残っているだけになっていた。

お酒を飲むことがわかっていたから、車で来なかった人も多いのかも。

自分の車に乗り込み、エンジンをかける。

もうすぐ5月だけど、さすがに夜はまだ肌寒い。

カバンから携帯を取り出し、着信がなかったことを確認してから、見やすい場所に置いて飛田さんが来るのを待つことに。

10分位経った頃、携帯に着信があったので慌てて出ると、相手は飛田さん。

『ごめんね、今からカラオケ出るからもう少し待てる?』

やっと抜け出せたと笑う飛田さんは、走っているのか少し息が荒い。

「あの、私もう車にいるので、迎えに行きますよ」

『あーじゃあ、さっきの居酒屋の前にある公園まで大丈夫?』

電話を切ってから、急いで会社を出て公園へ向かうと、公園の入り口にある柵にもたれながら、缶コーヒーを飲んでいる飛田さんを見つけた。

飛田さんの前に車をつけると、助手席のドアを開けてひょこっと顔をのぞかせてきた。

「ありがとう。乗っても?」

座席を指さし、首を傾げた飛田さんに、私もどうぞと勧めた。