Memories - 年の差恋愛 -

玄関の鍵を開け、中に入ると、奥の扉の向こう側からきゃんきゃんと鳴き声が聞こえてきた。

ご主人の帰宅を知って、喜んでいるのがわかるその声。

「わ、かわいい!」

ガラスの扉から時折見え隠れするその姿は、茶色と白の体を必死で動かして存在をアピールしていて。

「ポテト」

「え?」

飛田さんの口から出てきた言葉が、犬の名前だと気が付くのに少し時間がかかってしまった。

「あいつ、ポテトって言うんだよ」

靴を脱いで部屋にあがり、ガラスの扉を開けると、飛田さんに飛び込んだポテト。

「ただいま、ポテト」

いつもそうしているのがよくわかる、慣れた手つきで犬のポテトを抱き上げた飛田さんを見て、どきっとした。

なんていうか・・・すごく絵になる。

短い尻尾を必死になって振りながら、飛田さんの顔を舐めているポテトをみて、私もあんな風に抱きつきたいなんて思ってしまう。

相手は犬だよ、ペットだよ!

ああ、なんだか私って重症?