「佐智子ちゃん。付き合おう?」

私の顔を覗き込みながら、首をかしげてそう問いかけた飛田さん。

なんだか可愛らしくて。

そして、その言葉がうれしくて。

思わず自分から彼の首に腕を回し、ぎゅっと抱きついてしまった。

「佐智子ちゃーん?」

茶化すようにして私の頭を撫でてくれる大きな手が愛おしくて。

「俺・・・」

撫でていた手を急に止めて、真面目な声になった飛田さん。

ドキドキしながら次の言葉を待つけど、沈黙のまま時間が過ぎていく。

首にまわしていた腕をゆるめて飛田さんの顔を見ると、さみしそうな顔をして笑ってくれた。

「佐智子ちゃんよりも14も年上だし。20歳の女の子から見たらおじさんだろう?」

34歳には見えない、若く見える飛田さん。

好きになる男性は年上が多い私だったけど、一回り以上年の離れた人を好きだと思ったのは初めて。

きっと、飛田さんも同じなんじゃないだろうか。

「でも、入社してきた日から、かわいいなって思ってて」

え、そうだったんだ?

初めて聞く事実に、なんだかすごくうれしくて。

そして、くすぐったい。