Memories - 年の差恋愛 -

私だって、恋愛経験がないわけじゃない。

学生時代に、それなりに彼氏もいたし、恋愛だってしてきた。

でも、こんなに不安になることって初めてで。

自分で、どうしたらいいのかわからないこの状況。

私のこと、どう思っているの?

「キス、してもいい?」

徐々に近づいてくる顔に、抵抗していた私の両手も力が抜けてしまって。

ああ、私、飛田さんとキスしたいんだ。

「佐智子ちゃん」

唇が触れる瞬間、私の名前を呼んだ飛田さん。

私も飛田さんの名前が呼びたかったけど、すでにふさがれた唇では言葉を発することはできなくて。

「ん・・・」

徐々に深くなっていくキスは、私が今まで経験したことのあるそれとは違って。

飛田さんについていくのが必死で、ほんのりお酒の味がするキスにおぼれてしまった。

どれくらいの時間そうしていたのかわからないけど、すっかりのぼせてしまった私は、唇が離れてからも力が抜けてしまって。

ぎゅっと飛田さんに抱きしめられたまま。

「佐智子ちゃん。抱きたい」

なんて耳元でささやかれて、とろけていた私のからだは一瞬にして固まってしまった。