前川くんがあたしからはなれて、にっこりと小学生に近づいた。
「今日のこと、秘密な。お前もそのうち、こんな経験できっから」
ぽんと頭をなでて小学生の髪をわしゃわしゃとなでた。
小学生に、そんなこと言っていいのか!
「うん、わかった!ぼくもお姉ちゃんたちみたいにバカップルになる!!」
そう言って、小学生はうれしそうに走って行った。
前川くんはにっこりとその小学生に手を振った。
バカップルって…
そんなふうに見えるのっ?
きゃーと恥ずかしくなって、あたしは頬をおさえた。
「おい…υ」
前川くんがあたしの耳に息を吹きかける。
ぎゃっ、とあたしは飛び跳ねる。
「なっ、なに?!」
「どうして、ここにいるのかな~?」
楽しそうに、あたしを見る。
意地悪になる、悪魔の微笑み。

