「ここ、好きだなぁ」

空を仰いで寝転がりながら屋上で授業をさぼっていると、またもや中野がひょっこり姿を現した。



「お前って昔からそうだったよな~」

「?」

「お気に入りの場所が見付かると、そこから動こうとしないのな(笑)」


……それをお気に入りって言うんだよ。


「……そういえば山本とはどうなってんの?」


少し気になっていた。

付き合い始めたばかりで俺たちの騒動に巻き込んでしまったその罪悪感は否めない。


「お陰さまで停滞中ですよ」

「…そっか」


俺が思いつめた表情を浮かべたその一瞬を、中野は見逃してくれなかった。



「お前さぁ…大丈夫?」



中野が遠慮がちにそう尋ねてくると

「何がよ?」

と、俺はすっとぼけた。



「いや…なんか顔がすごい疲れてるし…あんま眠れてないんじゃないの?」

「そうかもねぇ…」

「そうかもねってそんな他人事みたいに…」



うっせぇなぁ…。

だったらお前が代わってくれんのかよ?

眠れてないって白状したらどうしてくれる訳?


お前に俺の気持ちがわかってたまるか。