改札口の彼に。

「ミミちゃん。男バスの先輩にね、ミミちゃんのケー番教えて欲しいって人がいるの!」


「はぁ?」


幼なじみの歩は、いつも一つ上の先輩達とつるんでいる。


それもこれも、彼女が憧れる加藤先輩に近づくため。

(なんで私のケー番なの?罰ゲームかなんか?)


歩が先輩達との話のネタに、私を使ったのかと思いムッとした。


「やだなーミミ。今ムッとしたっしょ?」

ちいさな頃から一緒に遊んでいた彼女には、何でも見透かされてしまう。


だから、無駄に自分を繕う事なく接することができるのだが。

喜怒哀楽を素直に示すことのできる友。


親友という言葉は、私の場合
彼女に対して使うのが正しいのだろう。


「あのねー本当、すっごいことなの!ムッとしてる場合じゃないよー?なんとね……
あの境木先輩がミミのこと、知りたいんだって!」


「境木?誰?」


(うわー新しい。
誰それ?歩また新たな人脈開拓したな。。)



「やだーミミ。知らないの?」


「うん」

(聞いたことも、見たこともない。)

「うっそ。
あのイケメン男バスチームで1番背が高くて、
王子様タイプ!ポジションはセンター。
知らない?本当綺麗な顔してる王子様って感じなの!
オウチがたしか私達と同じ駅だよ。すっごい目立つから見ればわかるよ!」