改札口の彼に。

「もっもしもし?」


勢いで出てしまった。

「あっ帰りに、話しかけた境木だけど、、、ミミちゃん?」

さっき駅であった時より柔らかく優しい声。

「うっうん。」

ドキドキして声が震える。


「いきなりごめんね。俺ミミちゃんと友達になりたくて。

春の球技祭、めっちゃ活躍してただろ?あの時知ってさ、そばにいた一年生に聞いたんだ。

あの子はミミちゃん。って
ミミちゃんはなんでミミちゃんなの?」



「はいっ?そこ?」


「うん!」


「なにそれ〜(笑)

第一、私、球技祭決勝で大失敗したの。」


「知ってる。サーブミスね。見てた(笑)」


「えーひどいなぁ。」


「でも、一人だけ輝いてた。俺にはそう見えた。」

一瞬で胸がギュッとした。
彼は慌てた様子で続けた

「で、なんでミミちゃんなの?本当は河原悠ちゃんなんだろ?」

そう。私の名前は河原悠。
小さな頃に、パンのミミが大好きで、3才のとき家を勝手に抜け出しパン屋さんでミミをもらってきて食べてた。という食いしん坊エピソードから、両親がミミちゃんと呼ぶようになり、今に至る。


「ハハハ。パンのミミからきてるミミちゃんなんだーおもしろー」