改札口の彼に。

一瞬の出来事に呆気にとられている自分から、

今いる駅のベンチに座っている自分に戻るまで、
少し時間がかかった。

佐倉から2駅の地元の駅は、普通電車しか止まらない小さな駅。

次に来る普通電車に、一緒に乗るはずだった歩はいない。。。

いるのは、同一直線上18メートル先に、孤高の王子。
同じく友達に置いて行かれたであろう、不敏な王子。

どーしよ。


恐る恐る視線を、境木先輩へ向ける。

彼はシトシトと降り止まない、雨を憂うかのように、グレーの空を見上げていた。

ぼんやりと、悲しげな表情で。