『相澤、いる?』 遡ること20分前。 授業前の休み時間。 今日の帰りのことを確認しに樺乃のクラスに行った俺は、入り口に居た知り合いに声を掛けた。 『相澤ならさっき出てっちゃったよー?1年生男子と』 ―お前いんのにねぇ? ニヤニヤと余計な言葉を掛けられて、眉間にシワがよる。 『……またか』 樺乃が学校の奴らに騒がれてるのは知ってる。 それは以前からのこと。 だから俺はずっと周りを牽制してきたんだけど。 …香汰に番犬と馬鹿にされるくらい。