バツが悪くなった俺は目を逸らし、もういい、と一言告げて歩きだす。 余裕が無いのは百も承知で格好つかないってのもわかってる。情けないとすら思うけど。 『ねぇ!柚杞、待って』 こうやって俺に駆け寄ってくる樺乃が、彼氏の目を抜きにしてもすごく可愛いのは事実で、 『いま…ヤキモチ…ですか?』 俺の嫉妬に嬉しそうに顔を綻ばせる樺乃に安心する反面、その姿や動作が可愛すぎて心配にもなる。 危機感が少しでもあればいいんだけど。