「はあ。なんでケー番変えたのか分かってるくせに。アヤちゃんは意地悪だねぇ」
『えー。アヤ、分かんないもーんっ』
「とりあえず、今日もこれからもあそこに行く気はないから。分かっ―――っ!!」
ふと、視線を感じてさっき梨海ちゃんと話してたドアを見れば、腕を組んで俺を力強く睨み付ける梨海ちゃんに、その梨海ちゃんのブレザーを引っ張る優衣ちゃんの姿があった。
あちゃー。痛いね、これは。
まだ電話は繋がってることを表すかのように、アヤちゃんの声が耳に届く。
「……梨海ちゃんっ。梨海ちゃんってば」
必死に梨海ちゃんを宥める優衣ちゃんだけど、効果なしってとこかな。
――パシン。
近づいてきた梨海ちゃんの平手打ちがクリーンヒット。見事に横を向いた俺。
「最低」
そう一言言い放った梨海ちゃんは、「優衣行くわよ」と、どうやら優衣ちゃんを連れていっちゃったみたい。
あー、やっちゃったよ。俺。どーすんの?これから先。
梨海ちゃんに嫌われちゃったら、きっと優衣ちゃんに近づくことも難しくなるよね。
だってさ、フツー一番大切な親友を遊びまくってた男とくっつけようなんて思わないじゃん。
これはちゃんと梨海ちゃんに話して誤解を解かなくちゃだな。

