マジックストーン



 ケーキの甘い香りと、紅茶の柔らかい香りが混ざりリビングに広がる。

「おいしいっ」

 優しい甘さに程よいスポンジに私が声を上げると、神崎先輩は目を糸の様に細め微笑んだ。

「ねっ。買って良かったでしょ」

「ホント、祥也くんってお店を選ぶセンスがあるねぇ。あそこ、常連?」

「いえ。今日、初めて行きました」

 彩織ちゃんは「そうなの」と言いながら、ケーキを頬張る。

「彩織さんは、住み込みなんですか?」

「うん。だって、優衣ちゃんひとりにできないでしょう?」

「ひとり……?」

 もぉー。彩織ちゃんったら余計なこと言うんだから、困っちゃうっ。

 ほら、神崎先輩だって意味分からないっていう顔してるし。

「優衣ちゃん言ってないの?」

「……だって」

 ケーキが口の中に入ってたのもあって、口籠もる私に代わって彩織ちゃんが口を開いた。