マジックストーン



「そんなこと言えるの今のうちっ。
さあ、ケーキ食べてよ」

「神崎先輩も食べましょう?私と彩織ちゃんの分よりあるみたいですし」

「俺、ね。甘いものダメなんだ。
ま、女の子の甘い鳴き声なら大好きなんだけどねぇ。特に、優衣ちゃんの鳴き声なんか大好物かなっ」

「………泣き声?あっ。先輩は、女の子の涙に弱いんですね」

「そっちじゃないんだけどなぁ」

 ……え?違うんですか?

 苦笑いのままの神崎先輩は、一度私の頭を撫で、手がそのまま降りてきて、肩を抱いた。

 なんで、こう、神崎先輩って密着するのが好きなんですかね?

 大して長くない廊下を歩き、曇りガラスがはめてあるドアを押して、リビングに入った。

 クリーム色の背が低いL字型ソファーの角に寄りかかり、洗濯物を畳む彩織ちゃん。

「若いっていいねぇ」

「彩織ちゃんも十分若いでしょっ」

 年齢不詳だけどね、と付け加えようとしたけど、神崎先輩が帰った後が怖いから止めた。

 一通り洗濯物を畳み終わった彩織ちゃんは、立ち上がり欠伸を噛み締める。