「優衣ちゃあんっ。そんなに怒らないでよ。可愛い顔が台無し――危ないっ」
ちょうど私の隣に追い付いた神崎先輩は、いきなり、しかも強引に私を抱き寄せた。
私が神崎先輩にキツく抱き寄せられ、苦しさのあまりもがいていると、遠くの方で「すみませんっ!!」と謝る声が聞こえる。
「はぁ、良かった」
「何がですかっ!ちょ、せんぱっ……。苦しっ、です」
「あ、ごめんごめん」
引きつった笑みを見せながら神崎先輩は腕の力を抜き、私を解放したと見せかけて私の腰に手を回し歩きだした。
………あの、密着しすぎじゃないですかね?
「危うく自転車にぶつかるところだったんだから、俺に感謝して?」
「あ、ありがとうございます」
「お礼は?」
「え?お礼ですか?」
ピタリと脚を止めた神崎先輩は、私と視線を合わせるために少し屈んで。
弧を描いたその優しくとろけそうな眼差しを見せた後、頬には柔らかい感触。

