「………え?」
いきなりで何が起こったのか分からない私は、唇を微かに開いた。
何を思ったか、神崎先輩がズンっとお互いの息がかかるような至近距離に顔を寄せるから、自然とまばたきの回数が増えてしまう。
ちちちっ、近いですってっ。
焦る私を余所に、くいっと私の顎を上げる神崎先輩は、口元を緩ませた。
「ずっと、俺のこと見つめてたから、キスしたいのかと思ったんだけど」
「違いますっ!!」
「なぁんだ。つまんないっ」
って、全然つまらなそうじゃないんですけどーっ!!
むしろ、楽しんでますよねっ?!
「それに、優衣ちゃんってすぐ顔が真っ赤になるよねぇ。かーわーいーいー」
「ばっバカにしないでくださいっ!!」
勢いをつけて、一度は諦めた神崎先輩の手を振りほどき、スタスタと前へ突き進む。
どうして、神崎先輩は私をからかうのっ。
幼稚園か小学校で、人の嫌がることは止めましょうって習わなかったのかなっ?!
習ったよね、絶対!!
っていうか、習うべきことであって、社会のルールだと思うんですけどっ。

