「おい。頼む、開けてくれ」
保健室でしばらく話していた私たちに聞こえたのは岩佐先輩の声。それに、ドアの向こうから。
「啓輔どうしたの……え?」
がらがらとドアを滑らせた神崎先輩の驚いた声。ゆっくりと起き上がった私は驚いた。
だって、あの舞希ちゃんが、しかも岩佐先輩にお姫様抱っこされながらすやすやと寝てるんだもんっ。
驚いたのは私だけじゃなかったみたいで、梨海ちゃんもぽかーんと口が開いている。
「……あ。 岩佐先輩……もしかして、舞希、泣いた……?」
「あ? 何で七瀬知ってんだよ。お前も屋上に居たのか?」
「いや……そうじゃなくて」
言葉を濁らせた梨海ちゃんは少し安心したように微笑んだ。
「とりあえず俺は相川おぶって帰る。七瀬一緒に来てくれねえか?」
「岩佐先輩っ……私も一緒に――」
「椎葉お前はダメだろ。祥也に送――」
「いや……優衣も一緒に行くわ」
なんとか岩佐先輩を説得した梨海ちゃんと神崎先輩も一緒に舞希ちゃんのお家に行った。
私の口から今日あったことをお兄さんに話して、梨海ちゃんと二人でお願いした。舞希ちゃんがまたアメリカに行かないように。

