「梨海ちゃん」
「ん? あ、何か飲みたい?」
「そうじゃなくて……舞希ちゃん無理してないかなあ……」
何やら言い合う岩佐先輩と舞希ちゃんに視線をやった。
私、すごく怖かったの。だから、たくさんたくさん泣いたの。なのに、助けにきてくれた舞希ちゃんは全然恐がってなかった。
私を教室から出した後、岩佐先輩が来るまで一人で戦ってたはずなのに、舞希ちゃんはベッドで眠る私に優しく微笑んだ。
「……舞希、無理してるわね。 でも、あたし達の他にちゃんと気付いてくれる素敵な人が出来たみたいよ」
安心したように微笑む梨海ちゃんの先には、岩佐先輩に連れられて「あ、梨海!ちょっと屋上行ってくる!」と早口で言った舞希ちゃんの後ろ姿。
「あの人なら……舞希は守られる」
「そうかもしれないけど、でもっ」
岩佐先輩は何も知らない、と言おうとした私を神崎先輩の「どういうこと?」に遮られた。
梨海ちゃんが軽く深呼吸をして、神崎先輩の瞳を覗く。
その神崎先輩を見る梨海ちゃんの瞳から“疑い”の色しか分からなくて、背中がぞっとした。

