泣かないって決めたのっ。つよくならなきゃ……舞希ちゃんを助けなきゃ!
ふらふらする足に力を入れて歩き始めた。職員室は遠い。近くでおとこの先生……保健室! 保健室ならあそこの角を曲がって真っ直ぐ行けば着くっ。
……っ。身体が震えて上手く動かせない。
どうしよう……頭もくらくらしてきた……舞希ちゃんが……舞希ちゃんが……。
私が誰か呼びに行かな――
「……っ優衣!!」
涙で霞む向こうから梨海ちゃんが走ってくる。もうだめ、と膝から落ちた私を抱き留めた梨海ちゃんもぼろぼろ泣いていた。
「優衣! 優衣! 大丈夫っ?!」
ぎゅっとしっかり抱きしめられた私は梨海ちゃんの手を掴んだ。
「……り、みちゃっ……舞希ちゃんがっ。……早く舞希ちゃんのところにっ」
お願い。舞希ちゃんを助けてっ。私の所為で舞希ちゃんが傷ついちゃう……っ。
「優衣! 痛いところは?!」
……っ。神崎せんぱっ……。
「ごめん、俺のせいで……ごめ――」
「私の代わりに舞希ちゃんが……っ。せんぱっ……はや、く……舞希ちゃん、を……」
「相川はどこだ!」
目の色が違う岩佐先輩に「この廊下の奥の教室に……」と伝えた後、すぐに神崎先輩と梨海ちゃんの声がすっと遠くなった。

