マジックストーン


 悩んだ挙げ句。玄関は一緒なんだから、ここで待ってればくるだろう、だったの。

 せっかく、神崎先輩が迎えに来てくれたんだから、それを無駄にしちゃいけない、気がして。

 下駄箱に寄りかかって待っていた。

 遅いなー。遅いなー。と帰るクラスの子に手を振った5回目。

「――じゃんっ。春からヤってないとか言って、どうせ違う学校の女とヤってんでしょ」

 女の子の甲高い声が玄関に響いた。

「本当にヤってないって」

 っえ? ……神崎先輩?

「うそうそ。 っていうか、どうしてあの女がいいわけ? ただ単純に、純粋で男を知らないショジョとヤりたかっただけ?」

 この女の人誰だろう……。

「だから違うって。俺が優衣ちゃんを好きなのは――」

「あ。思い出したわ。椎葉優衣って言うんだったわね。祥也が初めて1週間でオトせなかった女」

 えっ……? 私の話……。

「初めて1週間でオトせなくて悔しいから、ずっと意地張ってるでしょ。 好きでもないのに、好きって言って遊ぶなんて、最低な男ね。 ――まあ、アタシは嫌いじゃないけど」

 神崎先輩は私のこと……好きじゃない……。それに――

 ――私、遊ばれてるの?