「梨海、今日何か用事があるって?」
「ううん。そうじゃなくて」
鞄から舞希ちゃんへ視線を移した、ちょうどその時。
『キャアァァアアッ!!』
「……っあ」
神崎先輩が来た、という知らせが廊下から響き渡ってきた。
「そういうことか。じゃ、あたしも帰ろうかな」
「えっ?! 帰っちゃうの……?」
「そんな捨てられた犬みたいな顔しないでよ。ほら、あたしこっち来たばっかじゃん。だから、今日色々買い物に行くの。朔兄が迎え来てくれてると思うから」
お邪魔虫になるのは嫌だからね、と梨海ちゃんと同じことを言う舞希ちゃんは、にっと笑って教室から出ていった。
あーあー! どうしようっ。
「――ん? ゆーいちゃんっ」
「ひえわあっ!!!!」
びくんっと飛び上がりそうになった私は振り返って自分の肩を抱く。
「あ……驚かしちゃったね」
「かっ……あ、や……わーっ!!!!」
がばっと自分の肩から顔に手を移して踵を返した。手のひらが熱い。もうっ。どうすればいいの?神崎先輩そこにいるし、恥ずかしいし、それに――
――私、今、きっと、顔赤い

