どうすればいいか分からなくなってしまった私は、ゆっくりと神崎先輩を見上げれば、
「っ。 ……はあ。優衣ちゃんその顔反則だから」
「えっ……」
ワイシャツに伸びていた手が引っ張られ、いとも簡単に神崎先輩に捕まった。
「お願いだから、他の男にさっきみたいな上目遣いしちゃダメだよ?俺じゃなかったら、優衣ちゃん、襲われてる。 分かったら返事」
「は、い……」
「それと、好きじゃない男のワイシャツの裾を掴んで帰るところを引き止めちゃダメ」
どうして私が神崎先輩のこと好きじゃないって決め付けるの?私、神崎先輩のこと好きなのに……っ。
「あと、こうやって泣くのも禁止」
「……だってっ」
「だってじゃないでしょ? そういうことを無意識にやるから、俺が勘違いしちゃうんだよ。優衣ちゃんが俺のこと好きになってくれたんじゃないかって」
勘違いじゃないんです……っ。私、ホントに好きなのに……あと少しで言えないっ。
好きって言いたい。
私からぎゅっとして、私からキス……は無理だと思うから、せめて、せめて、好きって……。
「神崎先輩! 私っ――」
神崎先輩が好きなんです。が音にならなかった。

