ここでうじうじしてても仕方ねえから、と私の背中を押して歩き始めた。
「まあ、そうなんだけどさ。――あっ!優衣ちゃんっ」
神崎先輩の声に振り返ったのはやっぱり舞希ちゃんで、すごく優しそうに笑ってた。
「優衣神崎先輩待たせちゃダメでしょ」
「あ……うん。神崎先輩ごめんなさい」
「大丈夫。っていうか、石谷先生がなんでいるの?」
「あ?椎葉と……ちょっとな」
「は?ちょっとなって何?! あんたセンセーでしょっ!」
ぎゅっと抱き寄せられた私の心臓が早まる。わっわっわーっ!!神崎先輩っ。ちょっ……不意討ちはいけませんって!
かあっと赤くなる顔を必死に両手で隠す。だって、舞希ちゃんがにたあって笑ってるんだもんっ。
うるさいな神崎は、と言いながら、石谷先生は生徒用玄関から去っていった。
「優衣ちゃん何もされてない?」
石谷先生の冗談を真に受けた神崎先輩は、私と視線を合わせるように屈む。
どうしてか、好きって自覚してしまうと、もう、神崎先輩の一つ一つにどきどきしてしまう。
だから、そのどきどきを隠すように視線を色んな所に泳がして、神崎先輩の肩を押した。

