「……神崎先輩?」
「ううん。何でもないから。優衣ちゃん気にしないで」
それにしてもいい天気だねー、と伸びをし始めた神崎先輩。
「ピアノはどう? また、前みたいに弾けるようになった?」
「はい。今ではすっかり元通り、弾けるようになりました。 ――あ。そういえば、神崎先輩って高村花音さんとお知り合いなんですよね?」
「……まあ“ただの友達”だよ」
変。 そう思った。
なんにも根拠はないけど、なんだか変な感じがする。だから、心配になって不安になって、隣にいる神崎先輩を見たの。
「友達って言っても、学校は同じになったことないんだ。だから、優衣ちゃんの言うとおり、知り合いに近いかな」
神崎先輩笑ってる。笑ってるけど、どうしてそんなに苦しそうに笑うの……?
「……優衣ちゃん? どうしたの?なんでそんな泣きそうに……えっ?!」
「だって……神崎先輩がっ」
いつもはあんなに優しく楽しそうに笑うのに、どうして今は……っ。
「俺が?」
ああ、もう。神崎先輩が普段と違うと、そんなに苦しそうに笑うと、どうしてなのか知りたくなっちゃうじゃないですか……。
「……優衣ちゃん?」
――二つ、クリアしちゃった……

