マジックストーン


「あのねタカジくん――」

 途切れ途切れにざっと説明した私はちらりと後ろ振り返った。

「ひぃっ!! 増えてるっ」

『おれと神崎先輩が助けに行くからもう少し頑張れる?』

「わかったっ……」

 電話を切りポケットに再びしまった私は言われた通り、角を交互に曲がる。

 苦しい。こんなに走ったのって何年ぶりなんだろう。って思うくらい久しぶりすぎて頭がくらくらしてくる。

 神崎先輩……来てくれるのかな?タカジくんは一緒に助けてくれるって言ってたけど。私……ビンタしたこと謝ってないし……それに。

 今日だって一回も見てない。

「メイドさーんっ! 逃げないでよーっ」

「話そーぜっ」

「写真撮らせてくれなーい?」

 軽い声が後ろから聞こえてくる。それも息が全然上がってない声。

「あ! パンツ見えてるぅ」

「えっ?!」

 後ろを振り返りながらメイド服のスカートの裾を引っ張る。どうしてこんなに短いのっ。

「うそだよーんっ」

 ふざけた様なからかう様な乾いた声が飛んできた。

『ぎゃはは』

 ――もうっ!なんなのおっ