ぐんっと走るスピードを上げた。とりあえずどこかに隠れなくちゃ。
少し休んでそれから……それから……ま、まあそれは後で考えよ。
たんっと勢い良く曲がって壁が段差になっているところに隠れた。
……お願い、行ってっ……。
足音が何個も何個も通り過ぎる。な、な、な、何人いるのっ?!
ゆっくりと息を吐き出し、再びゆっくりとその壁から顔を出す。よし、誰もいない!今のうちに……。
音を立てないように近くにあったドアを静かに横にやり入る。最後にドアを閉めて、一息ついた。
◇◇◇
そして、今に至るわけだけど。さっきから何回も何回もドアの向こうを走って通り過ぎるたくさんの足音。
ここがバレるのも時間の問題。……あっ。梨海ちゃんに電話――って圏外?! えっ?! うそでしょっ?! こーんな広くてここらじゃ結構有名な私立英明高校のくせにっ!!どーして、圏外……。
――てことは、だ
ここから出ないと梨海ちゃん……ううん。誰にも電話できないんだ。
仕方ない。出るしかない。そっとドアに耳を当てて向こう側を確かめる。今なら誰もいない。
すっとドアを開け、体をなるべく薄くして通る。胸が小さくて良かった。そして、静かに走りだそうとしたとき、
「みーつけたっ」
後ろから声が聞こえた。

