マジックストーン


 どどどどうしようっ!運動音痴な私にはもう限界が目の前なんですけどおおっ!!

 誰かっ……誰か誰かだれ――

「ふぬんんんんんっ!!!!」

 にゅっとのびてきた手はがしっと私の口を塞ぎ、どこかに引っ張った。

 ななななにっ?! えっ? ええっ?! つつつつ捕まったああああっ!!

「んーっ!んーっ!んーっ!」

 どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよぉおおっ!

 叫べないし逃げられないし反抗で――

「しー。 うるさいよ、優衣ちゃん」

 ――え? だれ……?

「おっ。やっと静かになった。あともう少しの我慢だから」

 声や口調は神崎先輩みたいなのに……違う。神崎先輩は私の口を手で塞いだりしないもん。それに、まず最初に抱きしめる。

 怖い……怖い……っ。

「――よし。もう行ったから安心だね、優衣ちゃん」

 そっと外された大きな手のひらは後ろに吸い込まれていく。ばくばくする心臓あたりの服を掴む。

 私の後ろにいるのは誰なの?振り向いて確かめたい。でも、怖い。ううん。確かめなきゃ。

 意を決してゆっくりと振り返ったそこには、優しそうな笑みを浮かべた――

「――か…がみ、さん……?」